見ようとする目を持つこと

介護の仕事に就くまで、ホームいる高齢者は優しい人、なんて考えていた。
しかし、人なんて多様だ…

でも、多くは優しい人ではあるし、自分が関わることで喜んでくれたり、感謝してもらえるこの仕事は単純に楽しい。そんなことが日々のモチベーションになっていることは確かだが、自分の仕事感の形成に大きく関わったある男性のことを、ふと思い出すことがある。

彼は性格が悪い、というのが第一印象。脳梗塞後遺症を患い要介護状態ではあるが、新人と見るや容赦ない悪態をついてくる。先輩から話は聞いていて、「認知症でもないこんな人を援助する必要ないでしょ」くらいに思ったのが正直なところ。福祉はキレイごとで出来ている、なんてひねてもみたり。

それでも、仕事としては楽しかったし、彼への苦手意識は持ちつつも仕事を続けているうちに「彼はどうしてあんなことを言うのか?」を改めて考える機会があった。

そして得た答えは「人の手を借りなければいけない歯がゆさ」だった。自分に置き換えてみれば容易にわかることだったが、若かった自分には初対面での悪態の様が彼の理解にバイアスをかけていたのだ。

「きちんと相手を見ること」これが今の自分のポリシーである。